初めての方へ

ケース4 社会不安障害

(架空の典型例です)

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症例

Sさんは40歳になり中間管理職になりました。最近は自社のミーティングや客先で他社幹部の前でプレゼンテーションをすることが多くなり、その際にひどく緊張してしまいます。話しているうちにどきどきして、汗が吹き出し、頭が真っ白になって、質問が出てもしどろもどろになります。このため、2週間後に重要な会合が予定されているというだけで、不安でいっぱいになります。このため転職を考えています。夜はよく眠れません。最近は疲労気味で休日にはほとんど横になっています。

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院長からのコメント

社会不安障害というのは、簡単に言ってしまえば「ひどいあがり症」で生活に支障が出ている状態です。自分が注目されるような場面でひどく緊張します。会社で知らない人から電話がかかってきたときにも緊張して、できればとりたくないと思う方もいます。別の呼び方として社交不安症、社交不安障害、社交不安症がありますが、同じ状態を指します。社会不安障害にはうつ病が合併しやすく、うつ病がひどくなったときにはじめて受診される方も少なくありません。Sさんの場合も不眠や疲労感が生じていますので、初期のうつ病を合併している可能性もあります。

薬物療法が有効ですが、多くの場合は認知行動療法も有効です。不安緊張が生じない状態ばかりを追い求めず、注目される状態を過剰に回避せずに日常生活を送れることが重要な治療目標です。ただし、中等度以上のうつ病(イメージとしては会社に行くのが大変というレベル)を合併している場合にはうつ病の治療を優先し、ときには自宅療養が必要になることもあります。うつ症状がひどくならないうちに受診していただくと改善もスムーズと言えます。